2015年秋のドイツ旅行(7)
こんにちは。ともたろです。
狭い通路を通って、お隣の天守閣の入口へ。 オジサンは写っているわ、全体がうまく撮れていないわ。 とにかく、奥のらせん階段が天守閣の上へと通じています。 ちなみに、手前のハシゴは中世の拷問台です。 ラーンエック城といえば、天守閣の悲しい事件が思い起こされます。
朝の検温で、とうとう37度を突破。
日本の医師にもらった「もしも薬」を飲んでいるのですが、
ドイツに来てから、日に日に風邪が悪化しつつあります。
幸いなのは、風邪の症状が喉にこなくて、鼻でとまっていること。
ただ鼻だけに、毎日トイレットペーパーを1ロール使っていますが。
こんな体調だから、この日は9時5分の電車で行くのはやめました。
ゆっくりと朝食を取り、ゆっくりと宿の女主人とおしゃべりをして、
ゆっくりとホテルを出ます。
めざすは駅なのですが、さて、今日はどこに行こうかな。
いくつか候補はあるんですけど、どれもイマイチで。
リューデスハイムに移動してきてから、天候には恵まれません。
この日もどうやら、1日雨に悩まされそうです。風邪も悪化しそう。
悩みに悩んで、「えいっ」と飛び降りたのが、
終点コブレンツの少し手前、オーバーラーンシュタイン駅。
ライン川の両岸には、いちいち写真を撮るのが面倒になるほど、
古城がたくさん連なっています。ファインダーごしばかりなので、
「ひとつぐらい、古城に入ってみたいな」と思っていました。
この駅には、踏破が比較的楽な「ラーンエック城」があるのです。
案内板もないので、駅前にいた女性に「お城はどっち?」と尋ねると、
「うーん、左行って、どこかを山側に曲がって…説明しにくいから、
とりあえずインフォメーションに行って」と言われました。
写真のこの白い建物は、この町のインフォメーションです。
おかげさまで、町の地図をゲットできました。
977年にはフランク王国の王宮だった広場を、城壁が囲んでいます。
中央にそびえる塔は、「魔女の塔」(1324年)です。
このようなそっけない車道に出たら、左手に病院が見えるはず。
なにせ山に登るのですから、ここからはハードな道のりになりそう。
写真では省略していますが、山道を20分登り続けましたよ。
靴もドロドロになりました。あ、そうそう、この頃から、
私の靴先が漫画のようにパッカーンとはがれ始めたのです。
1足しかないのに、毎日びっしょびしょで、パカパカで。
旅後半は常にみじめな気分でしたよ~(涙)
20分はしんどかったけど、雨に濡れた緑の中を歩くのは、
気持ちがよかったし、道に迷う可能性がなかったので、
安心して歩き続けることができました。
ライン川最下流の拠点として、封土の銀鉱山を防護するためです。
すぐに関税徴収権が与えられ、他の城同様に税関として使われました。
17世紀になると、城は「30年戦争」によって破壊され、廃墟となります。
1850年にスコットランド人が購入したあとも、しばらく廃墟のままでした。
あの悲劇的な事件が起こるまでは。
ここの工事は、永遠に終わらないような気がしました。
ガイドのおじさんと、ドイツ人夫婦がおしゃべりしてました。
時刻は11時30分でしたが、ガイドのスタートは12時とのこと。
周囲を撮影したり、ときどきおしゃべりに参加したりしながら、
時間をつぶすしかありません。ああ、雨さえ降ってなければ!
「隣の芝生はよく見える」とはよく言ったものです。
あっち、きれいだなー。
私たちの他に人はこなくて、3人対象のガイドでした。
ご夫婦は北ドイツのリューネブルクから休暇に来ていて、
ライン川沿の古城を順番にめぐっているとのことでした。
中庭の中央に見えるのが、礼拝堂。右手にベルクフリート(天守閣)。
左手に本館があります。天守閣の手前には、中世の小さな厨房も。
ここの壁の厚さは3mもあり、室内はかなり狭い感じです。
1851年、天守閣を再建するため、塔の中には足場が組まれていました。
観光で麓の町に滞在していたイングランド人の17歳の少女イリア・ダブは、
スケッチのためにこの廃墟に入り、上階まで登ったところで足場が崩れて、
上階に取り残されてしまったのです。白骨化して発見されたのは10年後。
現場には、廃墟の上階で自分の死を悟った少女の日記が残されていました。
それがここなんです!彼女が取り残されていたのは、上の窓付近かな。
もうすでに廃墟っぽくなってますけど。どうか崩れませんように。
私とふたりで連なって「ひーひー」言いながら、らせん階段を上りました。
イリア・ダブの留まったであろうスペースのことは、もうすっかり忘れて。
(イリア・ダブも絶望的な気分で眺め続けたんだろうなー)
「私も降りる。このままいたら、日記書かなあかんはめになるから」
と答えたら、奥さんにめちゃくちゃウケてしまいました。
ごめんね、ネタにして。でも1人で残るのは、本当に怖かったんです。
こちらは、正面に見えた「聖ウルリヒ礼拝堂」です。
献堂されたのが1332年、再建が1852年ということです。
(ここが直されている間、彼女は塔の上に放置されていたのね…)
鍵穴が目立つので、それで開けたくなるのですが、開かない。
隠された第二の鍵穴があって、そこで開けるのが正解なんです。
「どうだい?面白いだろ~?」という得意げなガイドのデモ付。
巨大なタピストリ―が壁を覆い、中世の甲冑が並んでいます。
壁にかかっている絵は、プロイセンのフリードリヒ2世。
実はですね、城内の写真はあまり撮っていないのです。
暗くて撮りにくいってのもあるけど、とにかく手入れが悪い。
壁紙があちこちはがれ、茶ばんでいるんですよね。
ダイニングテーブルやタンスを、ガイドさんは自慢するけど、
みじめな落ちぶれ方で、なんか悲しくなってきました。
ラーンエック城よ、もっとお金とって、お城をなおしてくれー!
レストランも整備しなおして、客をたくさんよぶんだー!
皮肉なことに、麓に着くころには、こんなに晴れていました。
次は、オーバーラーンシュタインの中心を歩いてみることにしましょう。
「聖マルティン教会」には、1190年建造の塔がいまだ残っています。
15世紀の建築が、美しく保たれています。
現在は町の文書館として利用されています。
お城が見えるので、くぐって向こう側に行ってみたんですが、
実はこの「高架の出口」でした。なんて贅沢な高架でしょう。
1324年建築の「キーア門」でした。
電車で10分のコブレンツに移動し、いいタイミングで乗り換えます。
わずかな乗換時間で、お昼のフルーツを購入する余裕もありました。
だけど下車するとき、とんでもないハプニングが起こったのです。
ドイツでは乗客がボタンを押して、扉の開閉を行うのですが、
なななんと、下車しようとボタンを押した扉があかなかったのです。
「えっ?マジ?ええ?」とパニクっている間に、電車は発車しました。
つまり、私は目的の駅で下車できなかったのです……。
「壊れてるって……電車の扉が壊れてて、そのまま運行するー???」
私は次の駅で下車して、すぐに反対ホームにまわりこみ、
幸いなことに、すぐにやってきた電車に乗車できました。
しっかしねー、どこぞの自動車会社じゃありませんけど、
昨今のドイツクオリティ、地に堕ちすぎですわ。
たどりついたのは、ケーニヒスヴィンターという駅。
コブレンツからまっすぐ来たら、45分くらいの町です。
駅から線路沿いに10分ほど(コブレンツ方面へ)戻って、
ドイツ最古の1883年創業の登山鉄道に乗る予定でした。
と舐めていたら、電車乗場はドイツ人団体客でいっぱいでした。
周囲がおじいさんだらけ。これみんな鉄ちゃんなのかしら。
満員の歯車式鉄道は、急な斜面をガタゴトと登って行って、
(途中駅で誰も降りなかったので)全員を頂上駅で降ろしました。
日本人はさっそく目的地に向けて歩き出します。
だけど、さっきの古城にいたるまでの山道に比べたら、
観光客用に綺麗に整備されたこの坂道は、平地みたいなもの。
5分程度だったので、一気にかけあがりました。
「わ~~~目的の古城だー!!!」じゃなくて。
たしかに12世紀好きの私にとって、ド真ん中の築年ではあるんですが。
ここは「ドラッヘンフェルス(ドラゴンの岩)」の山頂にあたります。
この岩山は、ドイツの英雄伝説「ニーベルンゲンの歌」の前半に登場する
「英雄ジークフリートがドラゴンを退治した岩山」と言われてるんです。
この古城は「ニーベルンゲン」とは関係ありません。
しかもこの廃墟、現存率が微妙ですよね。
往復9€払って、登山電車で昇ってきたわりには…。
この伝説の舞台から、周辺の景色を楽しめただけで、よしとしなければ。
くわえて、この山は世界遺産ケルン大聖堂の石材を切り取った場所。
良質の石が取れる、歴史的にたいへん貴重な採石場なのです。
滞在時間は10分くらい。日本人はせわしないのです。
森の散歩道を歩いていった方が、気持ちよさそうです。
電車には乗らず、途中駅まで徒歩で降りることにしました。
散歩道の周囲は、日本ではあまりみたい巨大岩がゴロゴロしてて、
「ドラッヘンフェルスにきた」ことが、ようやく実感できました。
途中駅にある「ドラッヘンブルク(ドラゴン城)」です。
自然と調和した美しさに、前後して歩いてきたドイツ人一家と
いっしょに感動しながら、お城の写真を撮りまくりました。
「ここ、サイコーの撮影ポイントだね」
「川も山も全て逢って、サイコーだね」
「ねー」
電車が発車しようとしているのが見えます。
ちなみに前を歩いているのが、さっき一緒に喜んだドイツ人一家。
夕刻も近づいていましたが、まだまだ観光客がいました。
あのおじさんたち、もうここは見終わったのかしら。
このお城の基本情報、全く知らないで入ったんですが、
大きいだけで、なーんかアンバランスな建築なんですね。
そこが、ノイシュヴァンシュタイン城にそっくりなんです。
銀行家の別邸として、1884年に完成した建物だそうですが、
両者は完成した時代も近かったんですね。
時間がないので、駆け足で中をまわりましょう。
最初に撮影禁止と言われたので(2枚で)潔くやめました。
確かに歴史は感じられなくて、19世紀の成金貴族趣味です。
だって、食堂はまだ重厚感がありますが、寝室はこんな内装ですよ。
ここは娘さんのお部屋かしら?あれ?どこかに主寝室があったかな?
調べてみたら、所有者は初恋の人を想って故郷の近くの山にこの城を建設、
完成前にお相手が亡くなったので、本人は一度も入居しなかったそうです。
導線もスムースじゃないこのお城、何度も外にでるうちに、自分がどこにいるんだかわからなくなりました。(←方向音痴な人)
住むためのお城じゃないですね。眺めだけは最高なんですが。
いつまでもこの眺めを満喫していたい気もしますが、
これから2時間かけて、宿に戻らなければいけません。
現実に戻って、麓に降りることにしましょう。
麓まで電車で降りたかった。だけど待てど暮らせど電車は来ない。
仕方ないので、途中駅から麓に向けて、急な坂を下り始めました。
目の保養になります。歩くといいことがありますよね。
「ドラゴンの洞窟」キター!!!
ニーベルンゲンに由来するドラッヘンフェルスに来たからには、
このネタを期待していました。入ってみましょう。
今でこそ、ナチスの鍵十字としてしか認識されませんが、
このマークは、もともとゲルマン古代のルーン文字で、
「冬至/夏至」を表すものでした。
1913年にニーベルンゲンホールが建造されたときには、
そういう意味で、ガラス窓に装飾されたんだそうです。
時代を感じますねー。ここは来てよかった。
丸いホール全体に、ニーベルンゲンの様々なシーンを描いた絵、
関連モチーフが飾られていて、順番に見てまわることができます。
たとえB級テイストでも(失礼)、私はたいへん満足していますよ。
やっぱり歩いてきてよかったわ。
なんかドキドキします。たぶんこの先には…。
周囲のドイツ人は、みなここで苦笑。
私は1人で大満足。
爬虫類は、ドラゴンにかかっているのでしょう。
ここだけは、さすがの私もテンションが下がりました。
だって、実質は「蛇の展示」ばかりでしたから。
企画側も、ドラゴンにひっかけて必死なのです。
まあ許したろ。ドラッヘンフェルスですから…。
足早に走り去る私を、最後まで見送ってくれました。
いや~満足感はあったんですけどね、今日は本当に疲れました。
最後はほとんど足を引きずるようにして、駅に到着しまして。
18時20分ケーニヒスウィンター発、コブレンツで乗り換えて、
20時21分に何とかリューデスハイムに戻ることができました。
何も考えず、適当に観光客向けのお店に入店しましたが、
入ってみて、雰囲気があまりよくないことに気づきました。
接客も料理もいまいち。写真で見ると、電飾もひどいねー。
気のせいかもしれませんけど、ポテトの既製品感が半端なかったです。
飲物には、またまたフェーダーヴァイサーを注文しました。
こちらは、(昨日のお店より)濃厚でおいしかったです。
店員さんが大きなトレイに材料を持って来てくれて、注文者の目の前で、
アスバッハというブランデー(小瓶1ビン)、生クリーム、コーヒーを
ミックスしてつくってくれます。コーヒーというより、お酒です(笑)
私はお酒が弱くて、7€がもったいない気がするけど、お試ししてみました。
案の定、きつかった~。クリームを残すふりをして4割くらい残しました。
まあ、旅ってのは何事も経験です。
とりあえずリューデスハイムで食事ができてよかった。
さて、明日は地元イベント本番の日。
近郊からドイツ人の友人がきて合流し、半日イベントを楽しみます。
せめて、お天気に恵まれるといいんですけどね。
やっとリューデスハイムに落ち着けるので、
明日はこの町をめいっぱい満喫しましょう。
by ottohoefler
| 2015-10-10 02:45
| 旅行(Reisen)
見てるだけでシアワセな気分になれる身のまわりのモノたちをおひろめしています
by ottohoefler
S | M | T | W | T | F | S |
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
31 |
カテゴリ
全体自己紹介・リンクについて
ケメ子が一番(Katze)
旅行(Reisen)
ヴィンテージ
家具・雑貨
和の器
ファイヤーキング
オールドパイレックス
映画
かわいいもの発見
おいしいもの発見
未分類
以前の記事
2017年 07月2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
more...